「食とデザインとアート」を中心に活動するクリエイティブユニット「holiday」の堀出隼さんと美沙さんに、今に通じる幼少期のエピソードを伺いました!<後半>

インタビュー
「食とデザインとアート」を中心に活動するクリエイティブユニット「holiday」の堀出隼さんと美沙さんに、今に通じる幼少期のエピソードを伺いました!<後半>

◆「holiday」プロフィール 
アートディレクター/堀出 隼さん 料理人/堀出美沙さん
“make everyday happy”をコンセプトに、アート&フードディレクション、ケータリングサービス、イベントの開催や企画運営、パリのデザイン会社との業務提携などを手がける。今年1月には地元葉山に食堂「HOLIZONTAL」をオープン。
http://we-are-holiday.com

 HOLIZONTAL


【後編】~「ケータリングから始まったholiday」「コミュニケーションデザインの話」~

Q:美沙さんは小さい頃から料理関係のお仕事に興味を持っていたのでしょうか?

堀出美沙さん(ほりでみさ、以下美沙、敬称略):弟の喘息のケアで忙しそうにしていた母の家事を少しでも手伝いたいという思いがあって、小学生ぐらいの頃には、いつも食べる家庭料理はほぼマスターしていましたが、元々は、飲食関係の仕事に就くつもりはありませんでした。服やデザインに興味があったので、その分野の学校を選び、職業としては服飾関係へ進みました。そこでの仕事は充実していましたが、忙しい仕事ではあったので、続けるうちに次第に食生活がおろそかになり、自分が大切にしていたはずの「食」に対する思いや姿勢が、自分の本来のものと違ってきてしまったことに違和感を抱き、改めて飲食関連の仕事に臨むべく、今進んでいる道のほうへシフトしました。

 

Q:おふたりでいっしょに仕事をすることになったきっかけは?

美沙:飲食関連の仕事に就いて、いろいろな料理、そしてその料理をお皿の上にきれいに盛り付けることを教えてもらいましたが、それに加えて感じたことのひとつは、カフェやレストランでは、食事だけでなくその店の空間や音楽も大切で、それを楽しみにしている人も多いということを肌で感じたことです。ケータリングの話は、そんなことにつながることでした。

堀出隼さん(ほりでじゅん、以下隼、敬称略):自分のデザインの仕事の打ち合わせの雑談の中で、妻が料理を得意にしていることに触れることがあり、それを聞いてくれていた方から、あるパーティー用のケータリングを頼まれて、その相談をはじめたのがいっしょに仕事をするきっかけだったと思います。

美沙:どんな料理を提供するのか、イメージはありましたが、ケータリングは経験がなかったので、ふたりで相談しつつアイデアを出し合って始めたのが、私たちのケータリングデザインの出発点です。

隼:写真を紙に印刷してラグマット風に敷いたりするようなケータリングの見せ方といったことから始まり、料理を提供するだけではない、もっと違う方法でもお客さんを楽しませようと考え始めました。それがholidayの始まりです。その場に招かれた人が、食事をしてそれで完結してしまうのではなく、楽しさを追求し、演出方法を考えて、「2度3度美味しい」を感じてもらえるケータリングデザイン。それがholidayの活動の柱になっていきました。

 

Q:holidayのほかの活動についても教えてください。

隼:苺一絵(いちごいちえ)は、小学生のときに母の誕生日に母親の似顔絵を描いて贈った経験をそのままベースにして、苺に扮してお客さんの似顔絵を描く アートイベントです。友達の結婚式の余興で始めた小さな企画でしたが、今では、毎月のように頻繁に(!!)、各地のイベント会場などでも開催しています。全国6都市のPARCOツアーも行いました。holidayは「食とデザインとアート」を中心に、ケータリングなどのフードディレクションや苺一会に始まる様々なアートイベントなどを企画運営しています。

イチゴイチエ 

苺一会  苺一会



美沙:最近のお仕事では、北欧デンマーク・コペンハーゲン発のライフスタイル雑貨ブランド、フライングタイガーの商品を使った空間づくり、年間のパーティ演出の企画もあります。個性的なデザインの商品の見せ方、使い方を提案する雑貨アート的な企画でしたが、お客さんの反響もかなりよかったです。

今年1月には、葉山に、食堂「HOLIZONTAL(ホリゾンタル)」をオープンさせました。ケータリングから発展して、Caféとしても食堂としてもデリとしても使えるような、〝今作りたい料理を提供する”自由なお店です。小学生の頃から作ってきた家庭料理から、最近開発したレシピまで、メニューはシーズンごとに変わる予定で、決めごとのない食堂です。ここでいろいろなイベントも開催して行く予定です。

 HOLIZONTAL  HOLIZONTAL



Q:隼さんは息子さんが通う小学校(葉山町一色小学校)のPTA会長でもあると聞きましたが? 

隼:キッズ雑誌やライフスタイル雑誌等の取材も受けるようになっていながら、仕事が忙しくなってきて、逆にちゃんと自分の息子たちの面倒を見ることができているのか不安に思うところもあったので、自らPTA会長になることで、半分強制力を働かせて、子どもたちのことを考える時間を確保し、PTA会長の公務(活動)を通しても自分の子どもたちのことをケアする姿勢を継続できると考えた部分もあります。また、校長先生や、先代、先々代のPTA会長の方々もいろいろな取り組みをされていましたので、それを受け継ぎ、こちらの得意領域(コミュニケーションデザイン)で発展させれば、もっとおもしろくできそうに思えたので、自分の出番のような気がして立候補しました。

 

Q:PTAの活動はどんなことでしょうか?

隼: holidayの考え方のひとつに“人と人との繋がりや、意思の伝え方をデザインによってよりよくする”「コミュニケーションデザイン」という言葉があります。この視点に、一色小PTA会長としての視点を掛け合わせて、「笑顔が満ち溢れるような学校にしよう」と謳い、様々な活動を仕掛けてきました。学校から届けるPTA便りは、事務的なものからポップなデザインに一新して、読みたくなる(!)レイアウトに変更。地域コミュニケーションを視覚的にも盛り上げようと思って、「一色に笑顔の一滴を」というコンセプトでキャラクターを製作して、広報物やイベント時に使用しています。一目見たキャラクターの印象で、笑顔になるような、わかりやすさとシンプルさ、楽しさを追求しています。ほかにもさまざまなイベント企画等を展開しています。

校長先生や学校側にもとても評価いただいています。街を歩いていても話かけられることも多く、子どもたちからも「ホリデー!」ってよく声をかけられるようになりました。それなりの浸透に手応えを感じています。

 ITTEKI
  一色小学校

 

Q:どんなイベントが行われたのですか。

隼:どれも反応はよかったですが、いちばん印象的だったのは「Cinema isshiki(シネマイッシキ)」です。子どもたちに働く事の夢を語ってもらうシリーズイベントの「夢講演2017」にて、全国の様々な場所で「移動上映」を行なっているKino Iglu をゲストに招いて、講演会と上映会を企画しました。「映画」というジャンルの仕事の新境地を切り拓いている彼らのお話に加えての上映会は、普通の上映会ではないんです。トークが終わったあとに、「じゃあ今から、映画がスクリーンを飛び出します!」の言葉とともに、通常のスクリーンではなく、投影カメラを180度回転させて、子どもたちの背後の大きな壁一面に映し出すというサプライズを付けて上映しました。驚きと感動と笑いが一体になったような、子どもたちの地鳴りのような反応が忘れられません。一色小学校のためにセレクトしてくれた短編映画を3本(ヨーロッパのアニメーション映画、映画の歴史、コミカルアニメーション)を上映しました。 それぞれが考える余白のある作品を見せ、子どもたちに映画好きになってもらうよい機会が設けられたと思いました。

ほかに「イッシキッザニア」もやりましたよ!

 
Kino Iglu

 

Q:「イッシキッザニア」って何ですか?

隼:PTA主催でスタートした職業体験イベントです。様々な職業体験を子どもたちにしてもらったりしますが、珍しい試みのひとつとしては、自分の職業でもある言葉での説明が難しい「アートディレクター」という職業を、イッシキッザニアの一環としての「イッシキッザニアギャラリー」と名付けて、展示という形で紹介してみました。いつもの通り廊下に並べられて貼り出されていた子供たちの夏休みの自由課題の中から作品をいくつかセレクトし、教室を一部屋借りて、学校にあるもの、過去に作った什器などを持ち込みディスプレイ、レイアウトをし直して、一日限りのギャラリー展示をしました。同じものでも、いつもとは見せ方を変え、場内には前衛的な音楽を流して、張りつめた空間をつくってあげる。場所・環境を変えることで、感じ方が変わることを体験してもらいました。子どもたちは、後ろ手に組んで、声も立てずに黙ってシーンとしてそれを眺めていました(笑)。そんな雰囲気になること自体が、彼らにとって不思議な体験だったと思います。その光景を見て、成功できたかなって思いました。自分が子どもの頃の原体験のように、「自分がつくったものが誰かに喜んでもらえると知ったときの感動」みたいなものを体験してほしかったんです。自分のつくった何かが、ひとつの作品として扱われて展示され、見に来た大人の誰かがそれを見て、「へぇ~、あれ、かっこいいね」みたいに言っているのを聞いたら、自分がつくったものにあらためて感動できることもあると思うんです。そういうことをわかってほしくて、仕掛けてみました。

 

 

Q:「アートディレクター」という職業は理解してもらえたようでしたか?

隼:選んだり、並びなおしたり、整理したり、目立つようにしたり、そのままだと見つかりにくかったものを、取り出して見せることで、別のことが見えてくることを感じてもらえれば、同時に、体験として、それがアートディレクションという仕事だとわかる、そういう取り組みになったのではと思っています。デザインはコミュニケーションの手段であって、人を引き付けたり、人を楽しませたりすることに役立つことだと感じてもらえたらと思って企画しました。

 

 

Q:では、最後になりますが、親として…、PTA会長…(!?)として、読者のみなさんに、子育てメッセージアドバイスなどをいただけないでしょうか?

隼:そうですね。力の入り過ぎない姿勢、気楽な感じって大切だと思っています。

自由さ、自主性、そういうことを重視していると、自然に子どもたちの個性が育ってくるように思っています。

あとは…、話すことだけじゃない、いろいろなコミュニケーションの方法、アートやデザインによるヴィジュアル的なもの、標識やポスターのような告知サインとか、いろいろなものの見せ方もコミュニケーションのひとつだというのを日常の中で教えてあげられたらいいのかなって思っています。

これから、ますますコミュニケーションは大切になってくると思っています。

(おわり)


HOLIZONTAL


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